はじめに
労働衛生コンサルタント資格試験で最も難所となるのが口述試験です。正式な合格基準や採点基準が公表されておらず、合格率も口述試験だけで50%台となっています。
また、筆記試験が免除となっていない受験者は口述試験に落ちてしまうと来年は再度筆記試験から受験する必要があります。
これらのことを考えると・・・
口述試験は絶対に失敗できない試験です。
今回は合格率を確実に上げるためにシリーズで口述試験を徹底解説していきます。①試験内容,②勉強方法,③教材の3回に分けて解説します。
今回は口述試験において聞かれる内容について紹介します。
口述試験で問われる内容
口述試験では大きく3つの内容が問われます。
- 労働衛生活動の経歴
- 職業疾病予防・労働災害防止のための専門知識
- コンサルタントとしての資質
労働衛生活動の経歴
経歴としては具体的に以下の2つが聞かれます。
- 産業医としての活動歴
- なぜ労働衛生コンサルタントを取ろうと考えたのか
それぞれについて具体的に説明します。
1. 産業医としての活動歴
経歴が採点にどの程度影響するかは未知数です。様々な噂があります。
これだけの噂があるので経歴が点数化されている可能性はある程度高いのではないかと思います。
しかしながら、経歴が浅い・実務なしだからといって即不合格になることはないようです。
近年では実務経験のない初期研修医1年目の医師も労働衛生コンサルタントに合格した例があります。。
このことから「実務経験なし=不合格」は誤りだと考えられます。
2.なぜ労働衛生コンサルタントを取ろうと考えたのか
保健衛生区分で受験する人の多くが医師です。「産業医のついでの資格」として労働衛生コンサルタントを取得しようとしている場合がほとんどでしょう。しかし労働衛生コンサルタント側としてはコンサルタント単体として活躍してくれる人を望んでいます。
したがって、産業医ではなく労働衛生コンサルタントをとして何をしたいのかを明確にしておく必要があります。
産業医の業務の範囲内にとどまる理由ですと
まずは産業医と労働衛生コンサルタントの違いを理解しましょう。
これらの違いを理解した上で、受験動機の質問に対する回答は以下のようになります。
Q:労働衛生コンサルタントを受験した動機を教えてください
A:私は産業医として活動しています。将来的には労働衛生の専門家として開業し、50人未満の事業所や特殊な物質・設備を用いる事業所に対して課題ごとに、労働衛生の仕事を展開したいと考えています。
職業疾病予防・労働災害防止のための専門知識
主に労働衛生一般の分野が出題されます。
3管理・5管理, OSHMS, 安全衛生管理体制, じん肺, アスベスト, 特定化学物質 有機溶剤 鉛, 熱中症, 電離放射線…
上のように幅広い範囲から深い知識が問われます(広く、深く)。
多くの質問は想定回答が用意された1問1答式で質問されます。簡単な質問からだんだん深掘りされていきます。
口述試験の出題内容をカバーした問題集は販売されていません。いくつか有効な書籍を紹介します。(詳しくはシリーズ②勉強法にて解説します。)
コンサルタントとしての資質
1問1答式の出題が多いと述べましたが、次のような内容を質問されることがあります。
Q: ストレスチェックで高ストレス者が出たと事業者から相談がありました。「精神科に通わせたほうがいいか?」と尋ねられた場合どう答えますか?
Q:保護具をつけることを拒む労働者にはどのように対応しますか?
このような問題の答えははなかなか教科書や資料には載っていません。また咄嗟に回答しづらいです。
すぐに答えがでない質問にどのように答えるのか?
- まずは法令やガイドラインに基づいた回答を
国家試験ですので厚労省が提示している考え方を踏襲することが大切です。自分の経験や心情に基づいた回答は危険です。
確実に理解している範囲内でガイドラインの趣旨に沿った回答をしましょう。
2.簡易な言葉で短く話す
コンサルタントは複雑な内容を専門外の人にわかりやすく伝える必要があります。教科書通りの言葉ではなく、自分の言葉で話すのが良いです。そのためには内容をしっかり理解した上で自分の回答を構築する必要があります。
また。一方的に長々と話すのではなく、聞かれたことにのみ簡潔に答えて、試験からの更なる質問を引き出させることが大切です。試験官との対話によってコミュニケーションを測られている可能性があります。相互のやりとりが多くなるように簡潔に答えましょう。
3. わからない場合は「すみません。わかりません。持ち帰って調べさせていただきます。」
試験において『わからない場合ははっきり「わからない」と伝える』、「不正確なことを言わない」ということを徹底することが大事です。コンサルタントは専門知識を元に適切なアドバイスをする仕事です。誤った知識を伝達することは避けなければいけません。口述試験では「不正確なことを言わない」という能力も測られていると考えられます。
「わかりません」というスキップを何回まで使って良いかはわからないですが、1回か2回程度なら大丈夫なのではないかと思います。
まとめ
今回は口述試験で聞かれる内容について説明しました。次回はこれらの3つの内容についてどのように勉強していくのかを解説します。
コメント
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[…] 口述試験対策 徹底解説!① でも記載しましたが、口述試験では法令やガイドラインに基づいた回答が求められます。 […]